mopetto2012のブログ

朴裕河氏が『帝国の慰安婦』を著しました。私は、そこに差し出された「新しい偽善のかたち」から誤謬の一つ一つを拾いつつ、偏狭な理念に拒否を、さらなる抑圧に異議申し立てをしていくものです。

敗戦後70年『痩せた民衆・欲情との結託』(12)

日本は、脱臼したまま、このまま後ろ向きに前へと進んでいくのでしょうか? 微に入り細に入り各方面へ目配りし、思弁の技術を駆使したものの止むを得なく〈中庸〉を選びとった『戦後70年安倍談話』。 国際社会がもっとも注目していた「慰安婦」問題への言及…

【戦後70年安倍首相談話批判】 ―日本国、戦後70年の大計は「歴史的惰性」の上に立っていた―

安倍晋三首相は、被植民地・被占領地の人々の無残・苦悩・嗟嘆へ思いを馳せて、まずは「弱さが過ちを犯させた」と正面から見つめて謝罪するべきでした。 長い、ただ無駄に長い「談話」は、〈声低くして〉語られました。※注(1)下記 意味深長、不鮮明、不明…

NO10 『いったい、誰のための記憶なのか、誰のために?』

今、わたしたちの目の前には 絶対の虚無が坐っています。 あの戦場の戦跡の岩や石に染みついた血液の色。 天と地の間を飛びまわる〈呼び声あるいは叫び声〉。 一面が血の海になった天と地の間の空中で 〈亡霊の大群〉が突きあい突き殺し合っています。 みじ…

朴裕河批判8『われら廉直なる者』―善か?愚か?

【米歴史研究者らの声明】(2015年5月7日発表) それは、晩鐘の祈りのなかで唱えられた「道徳」のように聞こえます。 溢れるばかりの自己の情感を抑制しつつ、厳かに立って、施し与えるかのように「和解と赦し」を勧めています。 その真髄は高潔であるのでし…

朴裕河批判(7)『なんじら、さらに知らんと欲するや そも何を?』

「187名の署名」を知ったとき、私は動揺し、しばらく思考が止まってしまいました。ふと我に返ったとき、なぜか『北欧神話―巫女の予言の秘文を解く』にある詩編の一節を思い出しました。それは、『詩のエッダ(古エッダ)』のなかの一節です。「オスロ合意」…

(6)事実を封印したのは誰か!徹底的な証拠隠滅

耳を澄ませると、廃頽した都市の干からびた井戸から、あの叫び声、あの泣き声が聞こえてきました。幾万もの、幾百万もの、幾千万もの「死者」が行列して、こちらを見ています。 『日本国』の飽くなき貪欲と非常な〈力〉を半世紀も眺めてくると、もはや日本は…

朴裕河『帝国の慰安婦』批判(5)批判攪乱された「国際法上の議論」と「国内法上の議論」

魔法の花々が呟くように、 >「『朝鮮人慰安婦』として声をあげた女性たちの声にひたすら耳を澄ませることでした。」※注1と話したので、バラの茂みのうしろの方にひっそりと眠っていた女たちは、めぐり合わせを喜び、ひそやかな出会いが取り交わされたよう…

朴裕河『帝国の慰安婦』 批判(4)歴史修正主義者の「良心の呵責」と「罪責感」

ポストコロニアル研究は、常に問題含みであると思うのです。それは、現代史を扱う難しさにあります。「すべての選択がまだ可能であった時期」を人々が覚えていて、人々は、もしかすると別様に起こったかもしれない「偶然」を思い描いたりするからです。つま…

朴裕河『帝国の慰安婦』批判 (3)非歴史的な「ジェンダー誤答」           

鏡のように静かな湖面の底深くには、不気味な〈てい泥〉が堆積しています。その堆積物に、〈死屍累々の腐食〉という本性が隠されているとすれば、どうでしょう? 私は今、その静寂にあえて小石を一つ投げ込んでみようと思います。 2015年2月23日、NHK【ニュ…

朴裕河『帝国の慰安婦』批判(2) 「新しい偽善のかたち」

朴裕河著『帝国慰安婦』は、花や香をまとうように「和解」を唱えている。 遥かな声が遠い時間の彼方から向かってきて、読む人々を「赦し」という目標に駆り立てていく。穏やかで分かりやすい語り口。まるで外交官でもあるかのように、衣装を凝らして「心の礼…

朴裕河『帝国の慰安婦』を批判する(1) 〈拒絶するという序列化のロジック〉

1、『逸脱する』というロジック 序文に、>「『朝鮮人慰安婦』として声をあげた女性たちの声にひたすら耳を澄ませることでした」とあります。 穏やかで、清冽な姿が思い浮かびます。と、しかし、読み始めて、間もなくには躓いてしまいます。引用されている…